家賃が払えない!など新型コロナ影響に、国の「救済」続々と!知っておくべき…

新型コロナウイルスによる住まいの困りごと、救済情報を探そう

(画像提供/写真撮影:PIXTA)

新型コロナウイルスが蔓延し、ついに政府が「緊急事態宣言」を発令する事態に至った。企業の営業活動が停止し、生活に困窮する人たちの問題も浮上している。生活のあらゆる面に、新型コロナはさまざまな影響を与えているが、住まいに関連することで、今困っている人たちに対して、どういった救済措置があるのだろう?

生活に困窮して家賃が払えない人のための救済措置がある!

厚生労働省は都道府県などに対して、「民間賃貸住宅事業者から紹介による住居確保給付金等の相談があった場合の適切な対応について」という業務連絡を出した。これは、国土交通省が賃貸住宅関係団体などに出した、「新型コロナウイルス感染症に係る対応について」の業務連絡を受けたもの。

これらの対応の中心になるのが、「住居確保給付金」だ。この給付金は、「生活困窮者自立支援制度」の一部として位置づけられたもので、生活に困っている人の生活基盤となる「住まい」について家賃相当額を支給するものだ。

大本の「生活困窮者自立支援制度」は、収入や年齢にかかわらず生活や就労に関して困っている人たちに、相談窓口を設けて支援する制度だ。「就労支援」や「家計相談支援」、住まいのない人に衣食住を提供する「一時生活支援」などの事業と合わせて、「住居確保給付金」を支給する事業が設けられている。

国土交通省は賃貸住宅関係団体に対して、賃貸住宅に入居している生活困窮者に「住居確保給付金」の利用について相談窓口を紹介するように依頼し、厚生労働省は自治体に対して、賃貸住宅関係団体から依頼があったら相談窓口を紹介するとともに、住宅部局と連携しながら必要な支援をするように依頼しているわけだ。

では「住居確保給付金」は、どういった条件であれば受け取れるのだろう?

この給付金は、離職などによって住居を失った、あるいは失いかねない場合で、就職に向けた活動をする人に対して、家賃相当額(上限あり)を一定期間(原則3カ月間、就職活動を誠実に行っていれば最長9カ月)支給するもの。具体的には次のような条件が求められる。

●支給対象者の要件
(1) 仕事を失って(個人事業主の廃業含む)から2年以内であること
(2) 仕事を失う前に世帯の生計を主に支えていたこと
(3) ハローワークに求職の申し込みをしていること
(4) 類似の他の給付を受けていないこと
このほかに、収入・資産が一定額以下(自治体などによって異なる)という条件がある。

また、新型コロナウイルスの影響を受けて、4月1日支給以降は従来あった年齢制限(65歳未満)を撤廃したほか、求職活動などについてもその要件を緩和する策を講じている。

さて、支給対象者の「離職=仕事を失う」に定義されるのは、正規雇用の場合だけだろうか?

厚生労働省に確認したところ、「もともと雇用形態によらない運用になっているので、非正規雇用でも対象」だという。派遣社員が派遣先の企業から雇い止めになり、派遣会社には登録している状態でも支給要件に該当する。また、筆者のようなフリーランスの場合でも、個別の事情に応じて支給対象者となる。

加えて、政府の「緊急事態宣言」を受けて、さらに支給対象者を拡大する(4月20日施行)ことになり、4月7日に業務連絡を出したという。この最新情報を詳しく見ていこう。

「離職又は廃業」に加えて、勤務先の休業や雇い止め、子どもの休校で勤務できないなど、本人には責任のない事情で給料などを得る機会が減少して、「離職又は廃業には至っていないが、こうした状況と同程度の状態に至っている」人も支給要件に該当することになる。フリーランスも含まれる。

また、2年以内に離職し、アルバイトで生計を維持している(つまり就労していることになる)場合、離職をきっかけに生活に困窮している状態が続いているなら、収入が一定額以下に該当すれば支給対象者になるということも、改めて周知をしている。

出典/厚生労働省「住居確保給付金の支給対象の拡大に係る生活困窮者自立支援法施行規則の改正予定について」より転載

出典/厚生労働省「住居確保給付金の支給対象の拡大に係る生活困窮者自立支援法施行規則の改正予定について」より転載

新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり、収入が大幅に減ったりしたことなどで、家賃の支払いに困っている人は、まずは相談窓口に相談して、受けられる支援があるかを確認するのがよいだろう。

生活困窮者自立支援制度の紹介:厚生労働省

低所得者などでも借りられる賃貸住宅、セーフティネット住宅とは?

ほかにも、国土交通省では、「住宅確保要配慮者」のために「住宅セーフティネット制度」を用意している。この制度ではまず、入居審査などにより住宅確保が難しいと言われている「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など」が入居を希望したときに、「入居を拒まない住宅」を登録している。さらに、登録住宅に対して、住宅の改修や家賃を低額にするための補助金を出している。

つまり、入居を希望する人にとって、住宅セーフティネットの登録住宅ならば、低額な家賃でかつ、入居しやすいということになる。

この制度を支えるのが、各地にある「居住支援法人」だ。居住支援法人は、登録住宅を紹介するだけでなく、生活支援などの相談に応じることになっている。

新型コロナウイルスの影響で所得が減るなどして、低額な賃貸住宅に住み替えたいというようなときには、各地の居住支援法人に相談したり、セーフティネット住宅を探したりするとよいだろう。

登録住宅について:セーフティネット住宅情報提供システム
住宅確保要配慮者居住支援法人について:国土交通省
新たな住宅セーフティネット制度について:国土交通省

住宅設備機器等の納品遅れで、住宅ローン控除の要件に適合しない!の救済措置

新型コロナウイルスの影響はほかにもある。

当サイトの3月18日付けの記事「新型コロナ対策で未完成の引き渡しが可能に!?何を注意すればよい?」で説明したが、設備機器を製作する工場の稼働状況が悪化していることで、トイレ、システムキッチン、ユニットバス、ドアなどの建材・設備の部品の生産が滞っている。これによって、住宅を新築したりリフォームしたりする場合で、予定より入居が遅れるという事態が発生している。

その際の注意点をその記事で書いたのだが、実は、ほかにも問題があった。「住宅ローン控除」の要件を満たさなくなるとか、「次世代住宅ポイント」が申し込みできなかったという事態が発生しかけているのだ。

「住宅ローン控除」とは、年末の住宅ローン残高の1%を10年にわたって所得税などから控除するもの。多くの住宅購入者などが、この減税制度を活用している。

2019年10月に消費税率が引き上げられたことで、10%が適用された住宅については、控除期間を3年延長(3年間は建物の購入価格の消費税2%分の範囲で減税)して13年にする特例措置が設けられている。この特例措置には、「2020年12月末までに入居する」ことが条件となっている。

国土交通省は4月7日に、入居遅れの救済として、入居期限を延ばす措置を用意すると発表した。その内容は、新型コロナウイルスの影響で住宅の新築やリフォームの完成が遅れ、入居が指定期日に間に合わない場合、「2021年12月末までに入居」すればよいという弾力的な運用をすることだ。

ただし、「注文住宅を新築する場合は2020年9月末までに、新築の分譲住宅やリノベーション済み住宅を購入する場合、リフォーム工事をする場合は2020年11月末までに、契約が行われていること」という条件が付けられる。また、新型コロナウィルスの影響で入居が遅れたことの証明書類も確定申告時に必要となるが、詳細は法施行時に決まる予定だ。

出典/国土交通省「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について」(控除期間13年の特例措置の場合)より転載

出典/国土交通省「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について」(控除期間13年の特例措置の場合)より転載

また、中古住宅を個人の売主から購入する場合は、消費税は課税されないが、住宅ローン控除の対象になる。ただし、住宅ローン控除の控除額が、消費税が8%または10%が課税された住宅の購入の場合と比べて、次のように低くなる。

・消費税率8%または10%の場合:最大控除額400万円(500万円)
・その他の場合:最大控除額200万円
※( )内は新築未使用の長期優良住宅・低炭素住宅の場合

もともと住宅ローン控除には、「住宅の取得の日から6カ月以内に入居すること」という要件があるが、中古住宅をリフォームしてから入居する事例が増えている。新型コロナウイルスの影響で、リフォーム工事の完成が遅れ、入居が取得日から6カ月を超えてしまうという事態も起こりうる。

これについても、リフォーム工事の契約が「中古住宅の住宅取得日から5カ月後まで、または関連税制法案(弾力化についてこれから国会に出される法案)の施行日から2カ月後までに、リフォーム工事の契約が行われていること」という条件付きで、「リフォーム工事完了日から6カ月以内に入居」でも適用可能という弾力的な運用がなされる。

契約日の期限がちょっと分かりづらいが、国土交通省によると「すでに購入後のリフォームを予定している人をできるだけ救えるような条件設定にした」ということだ。

※耐震基準を満たさない既存住宅でも、取得から6ヵ月以内に耐震改修を行い入居するなら、住宅ローン減税や不動産取得税の特例(住宅・住宅用地)の対象にできる特例(買って耐震)についても同様に措置。 出典/国土交通省「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について」(中古住宅をリフォームする場合)より転載

※耐震基準を満たさない既存住宅でも、取得から6ヵ月以内に耐震改修を行い入居するなら、住宅ローン減税や不動産取得税の特例(住宅・住宅用地)の対象にできる特例(買って耐震)についても同様に措置。
出典/国土交通省「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について」(中古住宅をリフォームする場合)より転載

なお、住宅ローン控除の適用要件の弾力化については、これに関する法案が国会で成立することが前提となっている。

住宅ローン減税の適用要件が弾力化されます!:国土交通省

また、消費税率10%が適用される住宅の新築やリフォームについて、新築は最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントがもらえる「次世代住宅ポイント制度」についても、契約期日が弾力化される。ポイントの発行申請ができるのは、一定の品質基準を満たす場合で、2020年3月末までに契約をすることが条件だった。これについて、新型コロナウイルス感染症の影響により期日までに契約できなかった場合は、「2020年4月7日~8月31日までに契約」すれば、「2020年6月1日~8月31日までにポイントの発行申請」ができることになった。

次世代住宅ポイント:次世代住宅ポイント事務局

さて、新型コロナウイルスの影響で、私たちの生活は一変してしまった。なかには、家計支出に占める割合の高い「住居費」の負担に困る人もいるだろう。「貯蓄はないし住む場所を失うと困るから」と、慌てて金利の高い消費者金融などから借りるということはしないでほしい。

まずは、自治体に相談したり情報を集めたりして、利用できる救済措置がないか探してみよう。困ったときは正しい情報を集めて、相談できる窓口を探すことが、何よりも大切だ。

新型コロナウイルス感染症 ご利用ください、お役立ち情報:首相官邸

引用元: suumo.jp/journal