意外に高い平成世代の持ち家志向、住宅ローン選びでは…

意外に高い平成世代のマイホーム志向、住宅ローン選びでは…

(画像提供/PIXTA)

カーディフ生命が実施した調査で興味深いのは、生活価値観や住まいについて「平成世代」「ロスジェネ世代」「バブル世代」に世代を区分して比較している点だ。経済・社会的背景が異なる世代の価値観などの違いは、どういった点に表れるのだろうか?
【今週の住活トピック】
「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」を実施/カーディフ生命

シェアリングが浸透した平成世代でも、家や車は買う派が8割

まず、世代区分とその特徴を見ていこう。
● 平成世代:平成生まれおよび主にゆとり教育を受けた世代(20~34歳)
● ロスジェネ世代:主にバブル崩壊の影響を受けている世代(35~49歳)
● バブル世代:主にバブル景気時に就職した世代(50~59歳)

ロスジェネとは、ロスト・ジェネレーション=失われた世代ということだ。バブル崩壊後の就職氷河期に新規卒業生となった世代で、いまだにその影響が及んでいると言われている。その後の平成世代は、比較的堅実で、ワークライフバランスを重視する世代と言われている。

まず、持ち家志向を見ると、意外にも世代間であまり変わらないという結果だった。

それぞれに「買う」「どちらかというと買う」「借りる」「どちらかというと借りる」「利用しない・関心がない」を選ぶ形式で、「家」について聞いたところ、買う派は平成世代で78.1%、ロスジェネ世代で78.4%、バブル世代で78.8%と変わりがなかった。

「借りる」にはシェアリングやサブスクリプションを含むとしているが、実は「車」について聞いても、どの世代も8割近くが買う派で、シェアリングに慣れつつある平成世代でも、家や車は買う派が大勢を占めた。

平成世代は家族とつながる場としての価値観を重視

一方、世代間で違いが見られたのは、住宅に関する価値観だ。

平成世代の価値観が特に高いのは、「家は家族が団らんする場所」(平成世代52.5%)、「家族が思い出を刻むもの」(平成世代40.2%)の2項目。「友人や仲間を招いて交流する場」(平成世代19.5%)も他の世代より高いことから、平成世代が家に求めるものは、家族や仲間とつながる場という意味合いが強いということだろう。

住宅に関する価値観(複数回答)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

住宅に関する価値観(複数回答)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

一方、バブル世代が特に高いのは、「老後も暮らせる安心感を持てるようにする」(バブル世代53.4%)。ただしこれは、社会背景というよりも年齢的な影響が強いのだろう。また、世代で共通したのは、「家は仕事の疲れをいやす休息場所」(平成世代51.2%、ロスジェネ世代52.8%、バブル世代54.1%)だった。

平成世代は住宅ローン返済への不安が強く、保障を手厚くしている!

次に、各世代のうち住宅ローンの利用者に限定して調査した結果を見ていこう。

住宅ローン返済への不安は、想定した通り、平成世代で強くなる傾向(「不安を感じた」平成世代74.1%、ロスジェネ世代69.2%、バブル世代57.9%)が見られた。若いほど返済期間が長く残っているうえ、収入の安定性や年々収入が上がる期待をしづらいという背景もあるだろう。

住宅ローン返済への不安(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

住宅ローン返済への不安(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

面白いのは、不安の裏返しとして、住宅ローン契約時に加入が求められる団体信用生命保険(以下、団信)で保障を手厚くしている点だ。死亡保障だけの一般的な団信に加え、がん保障などの特約を付けている比率が50.9%とかなり高くなっている。

加入している団信保障の内訳(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

加入している団信保障の内訳(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

住宅ローンの団信でプラスできる保障は多様に

団信では、住宅ローンを借りた人が死亡したり、高度障害状態になったりしたときに、住宅ローンの残額を完済する保険金が金融機関に支払われる。その半面、死亡と高度障害ではない理由で返済不能になっても、保険金が下りることはない。

そこで近年は、病気などで返済不能になったときも団信の対象にする特約が多様化している。

代表的なものが、「がん保障」や「三大疾病保障」、「八大疾病保障」など。三大疾病は、死亡率の高い悪性新生物(がん)、脳卒中、急性心筋梗塞が対象で、八大疾病は、三大疾病に生活習慣病といえる五疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)を加えたもの。ほかにも、病気やけがで一定の就業不能状態になったときに保険の対象となる「就業不能特約」などもある。

特約を付けて保障を手厚くすれば、別途保険料を支払ったり、保険料分の金利が上乗せになったりするのが一般的だ。不安だからと特約を手厚くするほど、負担も増えることになる。

ただし、金融機関によって用意している特約に違いがある。さらに、同じような名称の特約でも、どういった状態になると対象になるのか、いつ保険金が支払われるのか、保険料の負担はどうなるかが異なっている。特約を付けて該当する疾病になったとしても、所定の条件に合致しなければ保険金が支払われないということもあるので、それぞれの内容をしっかり検討する必要がある。

不安を解消するには、ローン特約を付けるだけでなく、一般的な生命保険や医療保険なども視野に総合的に判断したり、貯蓄で備えたりする選択肢もある。自分はどのリスクに弱いのかなど、よく分析したうえで対策を立てるとよいだろう。

さて、時代背景を受けて、平成世代はいろいろなことへの不安が強く、対策も検討していることがうかがえる結果が目立った。一方、節約生活が苦手なバブル世代は、長寿化によってまだ長い人生を生きることになる。老後に向けて時間をかけられる世代ではないので、今のうちにライフプラン・マネープランをきちんと見直しておく必要もあるだろう。

引用元: suumo.jp/journal