子育て世帯・若者夫婦の新築住宅に最大100万円補助!新設「こどもみらい住…

子育て世帯・若者夫婦の新築住宅に最大100万円補助!新設の「こどもみらい住宅支援事業」を解説。

(写真/PIXTA)

令和3年度補正予算案が閣議決定した。その目玉政策として国土交通省が創設予定なのが、「こどもみらい住宅支援事業」だ。子育て世帯・若者夫婦世帯に対し、省エネ性能の高い新築住宅を取得したり住宅の省エネ改修をしたりする際に補助金を交付するという。今まさに住宅の取得やリフォームを検討している人には、見逃せない制度になるだろう。
【今週の住活トピック】
こどもみらい住宅支援事業を創設/国土交通省

新築住宅を取得する子育て世帯・若者夫婦世帯とリフォームする世帯が対象

こどもみらい住宅支援事業は、「子育て支援」と「2050年カーボンニュートラル」を目的としているので、対象者や対象住宅などに次のような条件がある。
(1)高い省エネ性能を有する注文住宅を新築する/子育て世帯または若者夫婦世帯
(2)高い省エネ性能を有する新築分譲住宅を購入する/子育て世帯または若者夫婦世帯
(3)一定のリフォームをする/住宅の所有者(法人を含む)、居住者または管理組合・管理組合法人

ここでいう子育て世帯とは「申請時点において子(令和3年4月1日時点で18歳未満)を有する世帯」、若者夫婦世帯とは「申請時点において夫婦であり、令和3年4月1日時点でいずれかが39歳以下の夫婦」のことだ。居住するために新築したり購入したりする、いわゆるマイホームが対象。

注意点は、この補助金を申請するのが住宅を所有する世帯ではなく、住宅の施工や販売、リフォーム工事を行う事業者である点だ。定められた登録事業者と工事請負契約または売買契約を結ぶことが前提となっている。

次に対象となる期間だが、補正予算案の閣議決定日である2021年11月26日以降に契約(工事請負契約・売買契約)を締結し、建築事業者・販売事業者が事業者登録(2022年1月開始予定)後に着工し、2022年10月31日までに申請することが条件。なお、リフォームについては、2022年10月31日までに工事が完成することが求められている。

最大で新築は100万円、リフォームは30万円の補助金

住宅に求められる性能については、新築住宅については高い省エネ性が条件となっていて、レベルによって補助金の額が変わる。

●マイホームの新築・購入の場合(1)(2)
A:補助額100万円/戸 性能/ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented
B:補助額 80万円/戸 性能/認定長期優良住宅、認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅
C:補助額 60万円/戸 性能/省エネ基準に適合する住宅(断熱等級4かつ一次エネ等級4以上を満たす住宅)
 ※いずれも住戸の延べ面積が50平米以上。土砂災害特別警戒区域に立地する住宅を除く。

●住宅のリフォームの場合(3)
必須:住宅の省エネ改修
任意:住宅の子育て対応改修、耐震改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等
補助額:リフォーム工事内容に応じて定める額 上限30万円/戸※
※子育て世帯・若者夫婦世帯は、上限45万円/戸(既存住宅購入を伴う場合は60万円/戸)
※安心R住宅の購入を伴う場合は、上限45万円/戸

リフォームで必須となる省エネ改修とは、「窓まわりの断熱改修(窓ガラスを複層ガラスにする、内窓を付ける、窓自体を交換する等)」、「建物の外壁、屋根・天井、床の断熱改修」、「エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、高効率給湯器等)」のいずれかの工事を行うこととされている。

また、大きな窓のガラスの交換で1枚当たり8000円、高効率給湯器の設置で1戸当たり2万4000円、外壁の断熱改修で1戸当たり10万2000円など、それぞれに補助額が定められていて、実施した工事の補助額を合計した額の上限が30万円などとなっているので、必ず上限額までもらえるわけではない。

と、まとめると上記のようになるのだが、専門的な用語が多いので、これで分かったというユーザーが多くはないだろう。そこで、いくつか用語解説をしていこう。

補助額が変わる省エネ性能の違いとは

新築住宅のAで条件とされる「ZEH(ゼッチ)」とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を略したもので、住宅の断熱性・省エネ性能を上げることに加え、太陽光発電などによってエネルギーを創り、年間の「一次エネルギー消費量の収支」がゼロ以下の住宅。エネルギーを創っていても、ゼロ以下には達しない場合に、そのレベルなどに応じてNearlyやReady、Orientedなどがつく。ZEHの普及は、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて政府も本腰を入れており、補助金を出すなどで支援もしている。

次にBの条件となる「長期優良住宅」とは、住宅の寿命を延ばす目的で創設されたもので、建物の耐久性に加え、リフォームのしやすさや維持管理計画などが条件となる。「低炭素建築物」は建物の省エネ性に加え、低炭素化に効果のある設備などを導入することが条件となる。いずれも高い性能が求められるので、全期間固定型ローンの金利優遇となる【フラット35】Sで、金利優遇期間が最長の10年となるAタイプの基準になっているほか、税制などの優遇措置も受けられる。

Cの条件となる「省エネ基準」は、客観的に性能を評価する指標である「住宅性能表示制度」において、断熱等級4かつ一次エネ等級4以上を満たす住宅が原則となる。最新の省エネ基準に適合することを示す書面や、同表示制度による「住宅性能評価書」などの証明書が求められる。

なお、最新の省エネ基準は、2025年までに新築住宅のすべてで適合させることが義務づけられる予定だ。詳しい説明をすると長くなるので、筆者の「脱炭素社会の実現に政府が本腰。2030年の住宅のあるべき姿とは。」の記事を参照してほしい。

いずれの場合も高い省エネ性能が求められるので、新築住宅を取得すれば補助金の対象になる、というわけではないことを理解しておこう。

また、リフォームの場合に上限が引き上がる「安心R住宅」は、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅で、リフォームに関する情報提供があるなどの住宅のこと。ただし残念ながら、登録されている住宅はまだ少ない。

なお、「こどもみらい住宅支援事業」は、これからの国会で予算案が成立することが前提になる。また国会での審議に向けて詳しい条件を明記されたり、変更されたりする可能性もある。まだ正式に決定しているわけではないが、すでに対象となる契約期間になっているので、新築住宅を建てる・買う、あるいは自宅や購入する中古住宅をリフォームする予定のある人は、しっかり情報を入手して、今のうちから検討しておくとよいだろう。

引用元: suumo.jp/journal