4割が住宅ローン選びに後悔!注意点はある?

4割が住宅ローン選びに後悔!注意点はある?

(画像提供/PIXTA)

人生で最大の借金といわれる「住宅ローン」。住宅を担保にすることで多額のローンを利用でき、35年など長期間にわたって、元金と利息を返済していくことになる。どんなローンを選ぶかは、かなり重要だ。であるのに、約4割が「後悔している」のだという。住宅ローン選びについて、深堀りしてみよう。

4割が住宅ローン選びで後悔!原因は「金融機関選び」と「金利タイプ」

MFSが「住宅ローン選びの後悔」に関するアンケート調査を実施したところ、「住宅ローン選びで後悔していることはありますか?」の問いに40.8%が「ある」と回答した。

後悔している理由を聞くと、最も多かったのは「もっと金利の低い金融機関を選べば良かった」(31.7%)、次いで「違う金利タイプを選べば良かった」(20.3%)だった。

住宅ローン選びで後悔していること(複数回答)(出典/MFS「『住宅ローン選びの後悔』に関するアンケート調査」より転載)

住宅ローン選びで後悔していること(複数回答)(出典/MFS「『住宅ローン選びの後悔』に関するアンケート調査」より転載)

住宅ローンは、窓口となる金融機関それぞれで複数の金利タイプのローン商品を用意している。その結果、どの金融機関のどのローン商品を選ぶかによって、当初の金利や借入期間中の金利の動きが変わってくる。加えて、今はほとんどの金融機関で一定の条件に当てはまる人に対して、金利を引き下げる「優遇金利」を用意しているので、同じ金融機関で同じローン商品を選んだとしても、人によって適用される金利が違うということもある。

つまり、金融機関ごとにどういったローン商品を取り扱っていて、自分が適用される金利はどうなるのかといった、情報収集と比較検討をしっかりしないと、自分にとって有利なローン商品、あるいは自分のライフプランに適したローン商品を選ぶことが難しくなる。

不動産会社が紹介する金融機関を選ぶのは、OK?NG?

後悔の原因の3位に挙がった「不動産会社に言われるがままに選んでしまった」についてはどうだろう?

調査結果からはその詳細が分からないが、「言われるがまま」が意味していることは2つ考えられる。1つは、不動産会社の提携先など「紹介された金融機関で借りる」こと。もう1つは、「提案された住宅ローンの組み方で借りる」こと。

まず前者の「紹介された金融機関で借りる」ことについて、見ていこう。

この調査では、不動産会社から紹介された金融機関を選んだ人に、後悔の有無と理由を聞いている。こちらも、41.3%と約4割が「後悔している」と回答した。紹介先の金融機関を選んだ理由について、後悔している人では、「自分の住宅ローン知識に自信がなかった」(54.1%)と「住宅ローン手続きが面倒だった」(42.4%)がかなり多くなっている。

不動産会社から紹介された金融機関を選んだ理由(複数回答)(出典/MFS「『住宅ローン選びの後悔』に関するアンケート調査」より転載)

不動産会社から紹介された金融機関を選んだ理由(複数回答)(出典/MFS「『住宅ローン選びの後悔』に関するアンケート調査」より転載)

住宅ローンを借りるには、金融機関ごとに「購入する物件の審査」と「借りる人に対する審査」が行われ、双方を考慮して、借りられる額が提示される。不動産会社が紹介する、いわゆる「提携ローン」の場合、あらかじめ不動産会社と金融機関で情報を共有しているので、物件の審査に要する時間がかからず、「ローン審査の時間が短い」という特徴がある。不動産会社がローンの手続きの一部を代行する場合もあり、手続きがスムーズということも多い。

また、場合によっては「提携ローン」独自の優遇金利が適用され、ほかで借りるよりも低金利で借りられる場合もある。後悔していない人で「紹介先金融機関の金利が低かったから」(27.3%)が多いのは、そういった理由からだろう。

半面、提携ローンはローン商品が限定される。選べるローン商品が二つか三つということも多いので、多くのローン商品を比較検討して選びづらいのがデメリットだ。その結果、自分の希望するローン商品を見逃すといったことにつながるわけだ。

調査結果を見る限り、住宅ローンに関する情報不足などから不動産会社任せにしてしまった人ほど後悔し、比較検討した結果として提携ローンを選んでいる人ほど後悔していないという傾向がうかがえる。提携ローンを選んで後悔するか否かは、やはり情報収集と比較検討をしたかどうかにかかってくるようだ。

提案された住宅ローンの組み方が、我が家に合っているとは限らない

次に、「提案された住宅ローンの組み方で借りる」ことについて見ていこう。

住宅ローンの金利タイプには、半年ごとに金利が見直される「変動金利型」、返済当初一定期間の金利を固定する「固定期間選択型」、返済中金利が変わらない「全期間固定型」がある。固定期間選択型は、当初固定期間を2年、3年、5年、10年などから選ぶもの。全期間固定型は、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携ローン【フラット35】が代表的なものだ。

不動産会社が販売センターなどで資金計画の試算をする場合、適用される当初の金利が最も低い「変動金利型」を利用し、返済期間を最長の「35年」で組むケースが多い。このパターンが最も多く借りられるからだ。ただし、変動金利型などの場合、市場の金利が上昇すると適用される金利も上昇して、返済期間中に返済額が増えてしまう可能性がある。

例えば、これから子どもの教育費の負担が増えていく家庭や、出産後に妻が働き方を変えるので収入が減る見込みの家庭など、5年後10年後に返済額が増えることを避けたい家庭もある。一方、40代50代で家を購入する場合、返済期間をリタイアまでの期間に設定してガンガン返済したい家庭もある。

借入期間中に金利や返済額がどのように変動するのか、返済期間は何年に設定するのが適当か(繰り上げ返済等も考慮しながら判断)、などもよく考えて、自分たちのライフプランに適した金利タイプや返済期間を選ぶ必要がある。

調査結果で「紹介先の金融機関を選ぶのが当然と思ったから」の選択肢が、後悔した人でもしていない人でも意外に多く、どちらも4人に1人がそう思っていることがうかがえる。金融機関にしろ、住宅ローンの組み方にしろ、紹介されたものをそのまま選ぶ必要はない。自分なりの組み方を希望したり、別の金融機関を自分で選んだりしたからと言って、それだけで不動産会社との信頼関係が崩れることもない。「購入する意思は固いが、自分に合ったローンを選びたい」ときちんと伝えておけばよいのだ。

もちろん「自分の住宅ローンの知識に自信がない」という人は多いだろう。だからと言って他人任せにするのではなく、不動産会社や口座のある金融機関の窓口、あるいはそれぞれがサービスとして提供する「ファイナンシャルプランナーの無料相談会」などを利用して、知識を広げていくことも必要だ。

最終的には、自身が長期間返済していくことになる住宅ローンなのだから、自学自習もしよう。もっとも、この記事を読んでいる方々は、すでに知識を広げる努力をされているのだろうから、釈迦に説法かもしれない。

引用元: suumo.jp/journal