「2018年度戸建注文住宅の顧客実態調査」結果を報告/(一社)住宅生産団体連合会
注文住宅の建築費は平均で3605万円、土地代と合わせると4918万円
この調査は、三大都市圏と地方都市圏に注文住宅を建てた人を対象に住団連が毎年行っているもので、2018年度で第19回目となる。
まず、注文住宅を建てた人の最新の平均像を見ていこう。
■2018年度の戸建注文住宅の平均顧客像(4都市圏全体)
※( )内は2017年度
世帯主年齢 40.9歳(40.5歳)
世帯人数 3.32人(3.40人)
世帯年収 874万円(895万円)
住宅の延床面積 128.1平米(128.6平米)
住宅取得費 4,918万円(4,889万円)※建築費と土地代の合計
建築費 3,605万円(3,535万円)※建て替えの場合4,033万円
自己資金 1,356万円(1,372万円) ※自己資金比率26.4%
贈与額 1,174万円(1,145万円) ※「贈与あり」のみ
借入金 4,069万円(4,031万円) ※「借入あり」のみ
昨年度と比べると、建築費が増加(建築費の1平米単価は 28.1 万円、昨年度から 0.6 万円増加)するなどで、費用が増加する分を、住宅ローンの借入金や贈与の額を増やすことで対応していると考えられる。
また、平均像は地域によっても異なる。住宅の延床面積が最も広い大阪圏では、世帯年収も最も高くなっているが、建築費が最も高いのは東京圏だ。
住宅資金の贈与を受けた人は15.9%、その平均額は1174万円
次に、贈与について詳しく見ていこう。
住宅取得資金における「贈与あり」の割合は 15.9%で、昨年度の18.0%より2.1 ポイント低下している。一方で、「贈与あり」の人の贈与額は、1174万円(昨年度1145万円)と昨年より増加している。世帯主の年齢別で見ると、「30~35歳未満」が26.8%、「35~40歳未満」が26.1%なので、30代を中心に贈与を受けている人が多いことが分かる。
さて、住宅の取得で贈与が注目されるのは、親や祖父母から子や孫への贈与では、「住宅取得資金の贈与の非課税特例」が使えるからだ。贈与を受けた人の実に70.5%が、この制度の適用を受けている。次いで「基礎控除と非課税特例の併用」(12.6%)、「基礎控除」(11.2%)の順で多くなっている。
贈与税の「基礎控除」とは、贈与を受けたとしても年間110万円以内なら、控除して課税対象にしないというもの。誰でも毎年、適用を受けることができる。
「住宅取得資金の贈与の非課税特例」は、「親や祖父母が子や孫に」、「住宅取得のための資金」として「贈与」した場合に限り、「2021年12月末まで」の特例として、一定額を非課税にするもの。この非課税特例は基礎控除と組み合わせることができるので、併用という回答もあるわけだ。
多くの人が、「基礎控除」と「住宅取得資金の贈与の非課税特例」といった非課税制度を利用した、ということが分かる結果だ。
消費税率10%適用で「住宅取得資金の贈与の非課税特例」の非課税枠が3000万円に拡大
実は、「住宅取得資金の贈与の非課税特例」については、消費税率が10%の場合に、非課税の限度額が拡大する。10月以降に新たに注文住宅の建築などの契約書を締結した場合なら、下表のような限度額になる。一度引き上げられた限度額は、2020年4月以降から順次減っていく仕組みだ。
一般の住宅の限度額は2500万円、それより省エネ性や耐震性などの高い住宅を建てた場合、限度額は3000万円になる。親から3000万円贈与してもらった場合で、この特例を使わなければ、贈与税は1000万円を超えてしまうので、非課税の効果がいかに大きいことが分かるだろう。
さて、住宅については、消費税増税による駆け込みはあまり見られなかった。「住宅ローン控除」の拡充などの支援策が効果を発揮したからだろう。一方で、多額の贈与を検討していた家庭が、非課税限度額の拡大を待っていたという可能性もないわけではない。多額の贈与ができるのは一部の富裕層に限られるが、次の調査で贈与の額がこれまでより増える可能性もあるだろう。