2022年の新築マンション平均購入価格、首都圏・関西ともに2001年以来…

2022年の新築マンション購入者、より高くより狭く!?23区居住者の4割弱が他に流出?

(写真/PIXTA)

リクルートの調査研究機関『SUUMOリサーチセンター』は、「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。その結果を見ると、新築マンションの価格上昇の影響がさまざまな形で表れていた。同じWITHコロナの2021年と比較して、どんな変化があるかを見ていきたい。
【今週の住活トピック】
「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」を発表/リクルート

首都圏の購入価格は5890万円で、2001年以降最高額に

調査は、新築マンションの購入契約者を対象に、2022年1月~12月に集計した、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県:5972件の結果をまとめたもの。

新築マンションの首都圏の平均購入価格は、5890万円だった。2021年より181万円増加し、2001年の調査開始以来最も高くなった。これは、「6000万円以上」が37.6%、「5000~6000万円未満」が21.8%など、5000万円以上の占める割合が全体の約6割に達しているからだ。特に「6000万円以上」は、10年前(5.5%)や5年前(30.5%)、前年(35.6%)に対して拡大し続けている。

購入価格(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

購入価格(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

自己資金比率は22.1%で前年(19.1%)より3ポイント増加している。にもかかわらず、購入価格が上昇した影響か、ローン借入額の平均は4963万円で前年(4941万円)より22万円増えている。特に借入額「5000万円以上」が45.3%と半数近くにまで拡大しているのが注目点だ。

世帯総年収も平均で1034万円となり、前年(1019万円)より増加。シングル世帯をのぞき、夫婦のみ世帯、子どもあり世帯、シニアカップル世帯のすべてで平均世帯総年収が1000万円を超えた。首都圏の新築マンションマーケットは、以前に比べ、より世帯年収の高い層を中心に動いていることが分かる。

なお、住宅ローンの契約形態は、「単独名義で契約」が69.0%、「世帯主と配偶者(パートナー)のペアローン」は29.9%で、ペアローンの割合は2018年以来、3割前後で推移している。

新築マンションの平均面積は、2001年調査開始以来で最も小さく

2022年の購入契約者のライフステージを見ると、最多は「子どもあり世帯」(第一子小学校入学前25.4%+小学校以上11.0%)の36.4%で、次いで「夫婦のみ世帯」の30.2%だった。一方、「シングル世帯」(男性7.3%+女性10.9%)は18.2%で、「シニアカップル世帯」(7.6%)とともに、2001年の調査開始以来最も高い割合になった。

購入した新築マンションの専有面積は、平均で65.9平米。前年の66.0平米とほぼ横ばいではあったが、2001年の調査開始以来最も小さいという結果になった。

専有面積(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

専有面積(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

また、「50平米未満」は「シングル男性世帯」で40.2%、「シングル女性世帯」で55.4%を占めるなど、全体に占めるシングル世帯の割合増加も、平均面積の縮小化に影響をしていると考えられる。

購入価格は、専有面積が狭くなるほど安くなる。面積の縮小化は、価格上昇によって手が届きやすい価格帯を求めた結果という見方もできるだろう。

東京23区の居住者の約37%が、購入時に他のエリアに流出

購入価格は都心部ほど高くなる。調査結果の平均購入価格を見ると、東京23区が7041万円、東京都下が5347万円、神奈川県が5553万円、埼玉県が5459万円、千葉県が4372万円だ。いずれのエリアも前年より上昇している。

一方、購入した物件の所在地は東京23区が最多の33.9%、次いで神奈川県の28.5%だった。注目点は、東京23区の割合が減少していることだ。5年前の2017年では東京23区は43.2%だったが、以降減少し続けている。

これを購入者の前住所とクロスして見よう。いずれのエリアも同じエリアで購入する割合が高いのだが、23区から23区への購入割合の減少が顕著だ。2017年では74.5%だったが、2022年では63.4%まで減っている。東京23区居住者の残りの4割弱が、購入の際に「他のエリアに流出した」ことになる。

契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

この結果は、東京23区の新築マンションの価格が高くなりすぎたことから、手が届きにくいと思う人が他のエリアで購入したという流れに見える。専有面積の小さいものを探すのか、より低価格なエリアで探すのか、あるいは中古マンションや新築一戸建てなどの別の物件種を探すのか、といった選択を求められたのかもしれない。

関西圏も首都圏とほぼ同じ傾向が見られる

リクルートは首都圏の調査結果発表の翌日に、関西圏の結果も発表している。その結果を見ると、関西圏も首都圏と同様の傾向が見られる。ただし、価格などの数値は異なる。

関西圏の平均価格は5071万円で前年より上昇し、2001年の調査開始以来最も高くなった。自己資金比率は平均27.6%、ローンの借入総額は平均4304万円で、いずれも前年より上昇した。世帯総年収も平均が921万円に増加したが、ペアローンの割合は2割前後で推移している。

シングル世帯とシニアカップル世帯の割合が、2001年の調査開始以来最も多いのも首都圏と同じだ。平均専有面積は68.7平米で、こちらも2001年の調査開始以来最も小さい。

ただし、流出状況は首都圏とは異なる。関西圏で最も平均価格が高いエリアは、大阪市内の5528万円だ。次いで、京都エリア(5471万円)、北摂エリア(5140万円)、阪神間エリア(5052万円)の順となる。契約前住所別に購入物件所在地を見ると、大阪市内→大阪市内は75.5%で前年(68.7%)より増加している。むしろ、北摂エリア→北摂エリアが前年の84.8%から75.5%に減少し、北摂エリア→大阪市内への移動が前年の7.0%から13.1%へと増加している。エリア間の価格差が首都圏より小さいということもあるが、大阪市内に魅力的な物件が多かったという見方もできるだろう。
この点について、SUUMO副編集長の笠松美香さんに聞いた。大阪市内の新築マンションの供給が関西圏の中では堅調で、梅田エリアを筆頭に開発が続き、将来の発展期待性が高いことに加え、大阪市内の平均価格が5000万円台とまだ手が届きやすいことから、首都圏とは流出状態が異なるのだろう、ということだ。

さて、首都圏と関西圏の違いは「重視項目」でも見られる。物件を検討する上で重視した項目は「価格」が最も多く、首都圏で90.2%、関西圏で86.9%。次いで「最寄り駅からの時間」が首都圏で82.9%、関西圏で79.3%、「住戸の広さ」が首都圏で73.1%、関西圏で63.7%だった。

しかし、首都圏では「通勤アクセスの良いエリア」が59.7%で4位になるのに対して、関西圏では53.6%で6位だった。関西圏より通勤時間が長くなりがちな首都圏ならではのこだわりだろう。

マイホームを手に入れるには、価格、広さ、周辺環境、交通アクセスなどさまざまな重視項目から帰着点を見つける必要がある。どこを重視してどこを妥協するかは、人それぞれなのだろう。

引用元: suumo.jp/journal