9割超が「省エネ住宅を選びたい」、背景に光熱費高騰。2025年省エネ基準…

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物価高、とりわけ光熱費の高騰が家計に大きな影響を与えている。電気代が2倍以上になった家庭もあるといった調査結果もある。その影響からか、省エネ住宅への関心が高まっているという。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「環境と住まいに関する意識調査」結果を発表/一条工務店

電気代の高騰が家計を圧迫している現状

一条工務店が、2023年2月に全国の男女750名を対象に「環境と住まいに関する意識調査」を実施した。「現在、電気代の高騰が家計を圧迫していると感じますか?」と聞いたところ、実に96.9%が「感じる(とても感じる65.6%+やや感じる31.3%)と回答した。電気代の高騰が、ほとんどの家庭の家計に影響を与えていることになる。

MILIZEとTEPCO i-フロンティアズが合同で、2023年2月に実施した「家計の管理に関する調査」(調査時期:2023年2月、調査対象:20~59歳の男女2000名)の結果を見ても、「値上がりを実感したもの」として挙がったのは、「食品」(66.6%)や「ガス」(45.0%)を抑えて、「電気代」が70.6%と1位になった。

日本トレンドリサーチとナチュラルハウスが共同で、2023年3月に実施した「電気代に関するアンケート」では、「2023年1月と昨年1月を比べて、電気代がどうなったか」を聞いている。

2人暮らしの回答結果では、最も多かったのが「昨年より1.1~1.3倍ほど高い」、次いで「昨年より1.4~1.7倍ほど高い」だった。「2倍以上」という回答も一戸建てで4.6%、マンションで2.9%おり、電気代の高騰ぶりがうかがえる結果となった。

出典:日本トレンドリサーチとナチュラルハウスの共同で実施した「電気代に関するアンケート」(調査時期:2023年3月、調査対象:一戸建てまたはマンションに住んでいる男女1341名)

出典:日本トレンドリサーチとナチュラルハウスの共同で実施した「電気代に関するアンケート」(調査時期:2023年3月、調査対象:一戸建てまたはマンションに住んでいる男女1341名)

電気代が家計を圧迫する結果、冷暖房を我慢するようなことがあると、ヒートショックなどの健康被害につながってしまう。一条工務店の調査で、「電気代が高すぎるために冷暖房を我慢する等、快適さを犠牲にすることがありますか?」と聞いた結果、79.2%がある(「よくある」30.1%+「時々ある」49.1%)と回答した。由々しき事態だ。

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

97.5%もの人が、省エネ住宅を選びたいと思うと回答

実は、光熱費の高騰により、省エネ住宅への関心が高まっている。一条工務店の調査で、「今後、新たに家を購入する場合、省エネ住宅(※)を選びたいと思いますか?」と聞いた結果、77.5%が「とてもそう思う」と回答しており、「ややそう思う」(20.0%)を加えた97.5%が省エネ住宅を選びたいと思っていることになる。
※調査では、省エネ住宅を「家庭の消費エネルギーを抑えるための設備の設置や施工を行った住宅」と定義

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

なかでも、20代と30代でその割合が高くなっている。では、省エネ住宅を選びたいと思う理由はどういったことだろう。

省エネ住宅を選びたいと回答した人に、次のグラフ図の4つの項目がそれぞれどの程度、省エネ住宅を選びたい理由として当てはまるか答えてもらったところ、「昨今、光熱費が高くなったから」が最も強い理由で、次いで「夏は暑く冬は寒いなど、住環境の面で今の家が快適に過ごせないから」となった。

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

2025年には、省エネ住宅が当たり前になる

さて、省エネ住宅と一口に言っても、きちんと定義がある。

住宅の省エネ基準については、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」で定められている。この基準に適合した住宅を「省エネ基準適合住宅」といい、省エネ住宅とは、原則としてこの省エネ基準適合住宅を指すことになる。

建物の天井や壁・床を断熱材でしっかりおおうことで、住宅の断熱性が上がる。この断熱性能は、法律の改正によって次第に引き上げられている。住宅の性能を統一基準で示すのが「住宅性能表示制度」で、法改正により省エネ基準が引き上げられるごとに、新築時に求められる最低限の「断熱性能等級」も2→3→4と引き上げられてきた。

一方、住宅で生活すると冷暖房設備を使ったり給湯器を使ったりして、エネルギーを消費する。エネルギーをできるだけ消費しない、効率の良い設備を使うことでも、住宅の省エネ性が高まる。そこで加わった住宅の性能が「一次エネルギー消費量等級」で、現行の省エネ基準では等級4が求められている。

どういった仕様なら等級4を達成するかは、東京と北海道のような寒冷地とでは異なる。その地域に応じた「断熱性能等級4」と「一次エネルギー消費量等級4」を満たす住宅が、省エネ基準適合住宅となる。

実は、住宅のような小規模な建築物は、今現在は省エネ基準に適合させることを推奨しているものの、義務とまではされていない。ただし、2025年には義務化される予定で、そうなると新築住宅はすべて省エネ住宅ということになる。

注意したいのが、これに先駆けて、全期間固定金利型の住宅ローンである【フラット35】の適用要件が変わることだ。2023年4月以降の設計検査申請分から【フラット35】の新築住宅の技術基準が省エネ基準適合住宅となる。つまり、省エネ基準を満たしていない新築住宅は【フラット35】が使えなくなる。そうはいっても、今の新築住宅の大半は省エネ基準を満たしているので、使えないという新築住宅はかなり限定されるはずだが、注意したい点だ。

新築住宅と中古住宅で省エネ性に差が生じる

新築住宅では、省エネ基準を満たす省エネ住宅が当たり前になる一方で、すでに建築された中古住宅は、建築当時の省エネ基準を満たせばよかったので、現行の省エネ基準を満たす住宅はあまり多くはないと言えるだろう。

省エネ基準は、実は2030年までに「ZEH(ゼッチ)基準」(断熱性能等級5と一次エネルギー消費量等級6)に引き上げられる予定だ。新築住宅を供給するデベロッパーは、すでにZEH基準への取り組みを始めているので、今後はますます新築と中古の省エネ性に差が出ることになる。

となると、先の調査のように「省エネ住宅を選びたい」と思う人は、新築住宅を選ぶか、中古住宅を省エネ改修することを選ぶか、といった選択をすることになる。省エネ性の高い住宅にするには一定のコストもかかるが、光熱費の削減や夏は涼しく冬は暖かい住環境になるというメリットが得られるので、長い目で見て考えてほしい。

引用元: suumo.jp/journal