住宅ローン返済中の我が家を担保にお金が借りられる?

住宅ローン返済中の我が家を担保にお金が借りられる?

(写真/PIXTA)

住宅ローンは、取得する不動産を担保にしてお金を借りるローンだ。今回取り上げる「不動産担保ローン」は、住宅ローンではなく、所有している自宅を担保にお金を借りるローンのことだ。実は、不動産担保ローンの中には、住宅ローンを返済中の自宅でも融資対象になるものがある。どういったローンなのか、詳しく見ていこう。

「不動産担保ローン」利用者の約4割弱が担保となる不動産のローン返済中

セイビーが、全国1万1018人から「不動産担保ローンを利用した経験がある」330人をスクリーニングし、インターネット調査を実施した。

まず、不動産担保ローン(住宅ローンを除く)の資金使途を聞いたところ、一番多いのは「生活費」(33.7%)で、以降は「事業性資金」(26.1%)、「借り換え」(23.8%)、「おまとめ(複数の債務のおまとめ)」(18.8%)、「車関連費」(16.5%)が上位に挙がった。

不動産担保ローン(住宅ローンを除く)の資金使途(出典/セイビー「『不動産担保ローン』利用者に関する総合調査」)

不動産担保ローン(住宅ローンを除く)の資金使途(出典/セイビー「『不動産担保ローン』利用者に関する総合調査」)

不動産担保ローン(住宅ローンを除く)を利用したことのある金融機関の種類については、「都市銀行」(42.6%)、「地方銀行」(24.4%)、「ネット銀行」(18.2%)が上位に。具体的な金融機関については、「みずほ銀行」(16.2%)、「楽天銀行」(15.8%)、「住信SBIネット銀行」(11.9%)がTOP3だった。ただし、具体的な金融機関名を「答えたくない」が31.7%と最も多かった。

担保にした不動産の種類を聞いたところ、一番多いのは「一戸建て」の46.2%で、次いで「区分所有マンション」(23.4%)、「土地」(12.9%)が多く、1棟アパートや1棟マンション、駐車場、事務所など事業用の不動産の場合もあった。

さて、担保にした不動産を取得したときの住宅ローンなどのローンの返済についてはどうだろう。「ローン完済済み」が47.2%で、「ローン返済中」が36.6%だったので、完済済みのほうが多いという結果だった。

みずほ銀行と楽天銀行の不動産担保ローンを比較してみた

では、「不動産担保ローン」を借りるには、どういった条件があるのだろう?
調査結果で利用者が多かった、都市銀行系の「みずほ銀行」とネット銀行系の「楽天銀行」の不動産担保ローンで見ていこう。下表で両行の商品の主な特徴を比較してみた。

金融機関の不動産担保ローンの主な特徴(両行のサイトを基に筆者が作成)

金融機関の不動産担保ローンの主な特徴(両行のサイトを基に筆者が作成)

借りたお金の使い道は原則自由となっているが、事業性資金などのリスクを伴うものなどはどちらも除外している。

ローンの額の上限では、1000万円と1億円でかなり開きがある。ただしいずれの場合も、担保価値と返済能力を加味して上限が決まるので、誰もが上限額まで借りられるというわけではない。ローンの期間については、借りる人の年齢にもよるが、どちらもかなり長く借りられるようだ。

ローンの金利タイプは変動金利と5年ごとに見直される固定金利といった違いがある。2019年7月時点で適用される金利を見ると、みずほ銀行は「短期プライムレート+1.5%」で2.975%となり、楽天銀行は2.83%~9.43%となっているので、個別の条件によって適用される金利がかなり変わるようだ。

住宅ローン返済中でも利用できるかどうかは、両者で異なる。これは、抵当権の順位による違いだ。

一般的に、住宅ローンでは担保に第一順位の抵当権の設定を求める。第一順位であれば、返済不能になったときに優先的に資金を回収できるからだ。みずほ銀行の場合は不動産担保ローンでも、原則として第一順位を求めるため、すでに住宅ローンで第一順位の抵当権が設定されていれば利用できないことになる。一方、楽天銀行は第一順位に限っていないので、住宅ローンを返済中でも利用できるという違いとなる。

不動産担保ローンのメリット・デメリットは?

このように見ていくと、不動産を担保に借りるという共通点のある住宅ローンとは、似た性格を持っていることが分かる。

つまり、不動産担保ローンのメリットとしては、マイホームのための住宅ローンほどではないが、無担保のローンと比べると、「低金利」で「多額の借入ができる」こと、「返済期間を長期に設定できる」ことなどが挙げられ、繰り上げ返済ができる点も住宅ローンと似ている。

一方、デメリットとしては、当然ながら「返済できないと不動産を失う」。また、事前に担保価値を評価したり返済能力を審査したりするので、「借りられるまでに時間がかかる」こと、事務手数料や保証料、登記などの「諸費用がかかる」ことも、住宅ローンと同様だ。

不動産担保ローンを用意している金融機関は多いので、上記の両行では対象外だった事業性資金を利用できる法人向けのローンなどもあるだろう。それだけ多様なローン商品となるので、商品の違いなどをよく調べたうえで、自分に合うものを選ぶようにしたい。借りるときの条件だけでなく、返済中の条件(遅延損害金、繰り上げ返済の有無、中途解約違約金の有無等)の確認も忘れないように。

ただし、マイホームを失うリスクが常にある、ということも忘れてはいけない。特に住宅ローンを返済中でさらに借りようとする場合は、それだけ債務が大きくなって、不動産を失うリスクも高くなる。後悔することのないように、上手にローンを活用することが重要だ。

引用元: suumo.jp/journal