同社では、不動産鑑定の問合せ件数を不動産取引の先行指標の一つと考えている。それによると、不動産鑑定問合せ件数は3月半ば以降、新型コロナ感染拡大前の4割程度に減少しその水準で推移していたが、全国で緊急事態宣言が解除となった5月24日の週からは同7割へと急速に回復している。
問合せ件数のアセット別構成比は、感染拡大前(2020年1月5日~3月14日)と比べ、拡大後(3月15日~6月6日)では、物流とレジ・寮で増加がみられた一方、オフィスやホテルで大きく減少した。地域別では、東京都心5区の問合せ構成比が大きく減少しその他地域で増加。東京都心5区ではオフィスとホテルが減少し、その他地域では物流に加えオフィスや商業の増加もみられた。物件の取得意欲についてのアンケートでは、35%が取得を検討。様子見は15%と低く、特に物流特価型では67%の事業者が取得意欲を示した。
また、外国人の入国制限や外出自粛要請などから、ホテルの宿泊稼働率は2019年4月の64.7%から2020年4月は16.6%へ大きく低下。宿泊施設タイプ別にみると、「旅館」が7.8%(前年同月比-31.6%)、「リゾートホテル」5.9%(同-51.6%)、「ビジネスホテル」25.2%(同-53.7%)、「シティホテル」11.8%(同-71.0%)、「簡易宿所」7.6%(同-25.2%)。外国人の宿泊比率が高いシティホテルでの悪化が特に大きかった。
今後については、6月19日から都道府県間の人の移動に関する規制が解除されることに加え、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4か国に関しては、6月中にビジネス目的の入国制限を緩和する方向で調整が始まっていることなどから、宿泊施設の客室稼働率や不動産市況、不動産投資に関するセンチメントが着実に回復に向かうと考察している。
ニュース情報元:大和不動産鑑定(株)