「50代会社員夫婦の定年対策 実態調査(第2弾)」を公表/マイスター60
50代夫婦、特に女性が定年退職後の暮らしで金銭的に不安を感じている
調査結果を見ると、老後の暮らしに金銭面で不安がある人は85.8%(とても不安40.4%+どちらかというと不安45.4%)と多数を占めた。特に不安を強く感じているのは、男性より女性に多いようだ。
一方で、年金が実際にいつどれくらい支給されるか、を正しく把握できている人は少ない。「しっかり把握できている」のは、わずか10.3%で、把握できていない人は46.7%(「全く把握していない」9.7%+「ほとんど把握できていない」37.0%)と半数近くに達する。
金銭面で将来に不安を感じる反面、年金で受け取れる額や老後の家計などについてはあまり検討されていないというのが現状のようだ。
本当に必要なのは3000万円以上!?退職金を全額充当が原則
折しも今、「2000万円問題」が注目を集めている。「95歳まで生きるには年金以外に約2000万円が必要」という金融庁の報告書。筆者は特に驚かなかった。
これまでもファイナンシャルプランナーなどの専門家が、総務省の家計調査や厚生労働省のモデル世帯の年金支給額などから、老後のために必要な資金を試算している。筆者が取材した経験からいうと、老後資金として3000万円以上は貯めたいという試算が多かった。95歳のように平均寿命より長く生きるなら、その金額はさらに増えるだろう。
では、マイホームを取得したうえで老後資金を貯めるには、どんなマネープランを立てればよいのだろう。
人生の三大支出といわれるものに「住宅資金」「教育資金」「老後資金」がある。子どもの教育資金と自分の老後資金が重なることはめったにないが、住宅資金は常にかかわってくる。このバランスをどう取るかがカギになる。
教育資金は、子どもが生まれたときから一人当たり毎月1万円貯蓄し続ければ、最も多額な教育資金が必要になる「大学や短大への入学時に備える」ことができる。
老後資金は、「退職金を全額充当」して、不足分は子どもが卒業してから定年退職までに貯蓄をするということになる。
住宅資金は、賃貸かマイホームかで大きな違いがある。老後も賃貸暮らしを続けるなら賃料を払い続けることになるので、それを見込んだ老後資金を確保する必要がある。
マイホームの場合は、ローン完済後は住宅のメンテナンス費用の支出だけになるので、老後資金を抑えることができる。ただし、退職金を住宅ローンの返済に充てるような資金計画を立ててしまうと、老後資金に影響してしまうので、定年退職前にローンを完済することが原則だ。
こうした基本的な考え方でしっかり家計をやりくりすれば、老後資金の確保も見通しが立つと思う。
もちろん、教育費のかけ方や老後の暮らし方、所得の額や年金の額、実際に生きる年数などによって、家庭の収支は実にさまざまだ。2000万円問題をきっかけにして、それぞれの家庭の収支について、真剣に考えてみるとよいだろう。
若い人は老後までの時間を上手く活用して、シニア層は働き方を検討して、子育て層は教育費と教育方針を連動させて、自分の老後の暮らしを守れるように、それぞれ家庭のマネープランを見直してはいかがだろう。