【今週の住活トピック】
「太陽光発電と家庭の電気料金に関する意識調査」を公表/一条工務店
在宅時間の増加により、過半数が電気代の増加を実感
一条工務店の調査結果によると、コロナ禍で在宅時間が増えたことによる電気代が「増えた」という人が過半数の54.3%に達した。なかでも、全体の27.6%を占めるテレワークをした人に限ってみると、「増えた」という人は77.4%に上った。1.5倍以上(23.9%)や2倍以上(5%)も電気代が増えた人もかなりいた。(グラフ参照)
一方、テレワークをしている人で「勤務先から電気代の補助などがある」という回答は13.4%だったので、電気代の増加が家計を圧迫している可能性もうかがえる結果となった。
太陽光発電の設置で良かったのは、売電収入、停電時の安心、電気代の安さ
次に、太陽光発電を設置(太陽光発電のみ設置、太陽光発電と蓄電池を設置)している人に、「太陽光発電を設置してよかったこと」を聞いたところ(複数回答)、「売電収入がある」(87.7%)、「停電時に安心」(71.3%)、「電気代が安い」(54.2%)の順に多かった。(画像2参照)
そのためか、太陽光発電の設置に満足しているかを聞くと、満足度は92.4%(とても満足67.2%+満足25.2%)とかなり高い結果となった。
太陽光発電の設置をしない理由は、設置費用やメンテナンス費用
これに対して、太陽光発電を設置していない人に「太陽光発電を設置しない理由」を聞いたところ(複数回答)、
「設置費用が高い」(34.0%)、「将来のメンテナンス費が不安」(28.6%)、「元が取れるか不安」(28.3%)の順に多かった。(画像3参照)
また、太陽光発電を設置していない人で、「設置を検討している」(28.6%)または「検討したい」(20.6%)と答えた人に、その理由を聞いたところ(複数回答)、「自然災害による停電の多発」が63.8%と最も多く、「家庭向け電気料金の値上げ」(45.2%)、「自宅の電気代の増加」(44.5%)が続いた。(画像4参照)
住宅の太陽光発電の設置は今後も増える!?
さて、住宅用の太陽光発電システムは、日中に太陽光で発電した電気を家庭で使用し、余った分は電力会社に売り、不足する分は電力会社から買う仕組みだ。地球環境意識の高まりを受けて、2012年にスタートした余剰電力の「固定価格買取制度」や設置費用の補助金制度などもあって、普及が進んだ。
一方で、「固定価格買取制度」で定める価格は年々下がっており、住宅の太陽光発電は売電目的よりも、自家消費をするためのものに変わってきている。発電設備だけでは電気を貯めることができないため、夜間でも使えるように蓄電池を併設する家庭も増えている。
今回の調査結果を見ると、既に設置した人では「売電収入」をメリットに挙げているのに対し、いま検討している人では「レジリエンス(災害対策)」を挙げる人が多いのは、こうした背景があるからだろう。特に、近年は大規模災害が頻発しているので、なおさら電気代よりも災害時の停電対策に重きを置く人が多いと思われる。
政府は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2021年4月には2030年度の温室効果ガスの排出削減目標を、2013年度比で46%減とすることを決定した。今後、再生可能エネルギーを大幅に増加させる必要があるため、住宅の太陽光発電についても、新築住宅への太陽光パネル設置を義務づける検討を始めている。太陽光発電は変動性が高いので課題も山積みだが、ZEH(ゼッチ:使うエネルギーと生み出すエネルギーの収支が0になること目指した住宅)への補助金などで積極的に促進していく姿勢だ。
住宅の太陽光発電を設置する際の注意点は?
再び調査結果に目を向けると、太陽光発電の課題は、先行投資の費用にあることが分かる。設置やメンテナンスの費用が高額になるため、売電収入や電気代の引き下げで元が取れるようになるには時間がかかるからだ。
また、太陽光発電システムの普及に伴って、トラブル事例も増えている。資源エネルギー庁では、「太陽光発電に関するトラブルにご注意ください」というチラシを作成し、注意を呼び掛けている。トラブル事例を見ると、事実ではない(あるいは不正確な)説明や過剰なセールストークをしたり、強引な勧誘行為をしたり、ずさんな工事をしたりする事例が挙げられている。
これから太陽光発電の設置を検討するのであれば、必ず複数の事業者から詳しく説明を聞いて、太陽光発電システムの仕組みについて正しく理解するとともに、商品の違いや工事内容、見積額を比較検討したうえで、設置後の保証内容を確認し、依頼する事業者を選ぶようにしたい。
太陽光発電は、取り付ける屋根の面積や形状、方位などによって日射量が変わるので、どの程度の発電量が期待でき、どのくらいの電気代が節約できるのか、シミュレーションをしてもらうことも大切だ。事業者がこうした知識を持っていること、設置実績が多いことも、事業者選びには重要なポイントになる。
コロナ収束後も、テレワークという働き方やオンライン授業という学び方が定着すると見られており、以前よりも在宅時間が長くなることが想定される。増えてしまう家庭の電気代対策としては、小まめに節電したり、電力会社を切り替えたり、自宅で発電したりと方法はいろいろある。自分に適したものを検討するとよいだろう。