(※)L)レズビアン:女性同性愛者 G)ゲイ:男性同性愛者 B)バイセクシュアル:両性愛者 T)トランスジェンダー:生まれたときの身体の性と、自認する心の性が不一致な人たち
同居を始めるにあたり、約半数が新たに家を探している
付き合いはじめ、そろそろ同居を始めようとなったとき、住まいはどうしているのでしょうか。
調査結果を見ると、新たに家探しをした人は、賃貸(42.3%)、購入(12.6%)を合わせると半数を超え(54.9%)ました。家探しはせず、どちらかが住んでいた家で同居を始めた人は賃貸(36.0%)、購入(9.0%)を合わせると45.0 %という結果でした。
新たに家探しをした(賃貸)のは女性同士のカップルのほうが多く、どちらかの家で同居をはじめたのは男性同士のカップルのほうが多いことがわかります。
それぞれの理由やきっかけは、
【新たに家探しをした(賃貸)】
・私がワンルームに住んでおり、パートナーは実家に住んでいたので、2人で住める広めの部屋を探した(35歳・レズビアン)
・2人で一緒の家に住んで生活がしたかった。より一緒の時間を過ごしたかった(28歳・女性・バイセクシュアル)
【新たに家探しをした(購入)】
・パートナーと同居できる部屋を探したが物件が少なく、結局、パートナーが新居を建て、そこに一緒に住むことになった(53歳・ゲイ)
・当初は私の部屋で同居していたが、2人で生活するには狭い(51歳・ゲイ)
【どちらかの家で同居を始めた】
・二人の関係を大家さんに説明するのが面倒だった(54歳・女性・バイセクシュアル)
・家さがしが面倒だった(53歳・男性・バイセクシュアル)
などでした。
家探しの条件は「家賃」「通勤・通学時間」「間取り」などが上位に
次に、新たに家を探す際(賃貸)に重視した条件を聞いてみました。
1位は「家賃」(45.7%)で、「通勤・通学時間」(36.2%)、「立地・周辺環境」(36.2%)、「間取り」(35.1%)、「二人入居可」(31.9%)が続きます。「LGBTフレンドリーな物件である」は約10人に1人が選択していました。
女性同士のカップルでは「家賃」のほかに「セキュリティ」(39.0%)も重視しており、男性同士のカップルと22ポイント違いがありました。また、「構造(耐震性、耐火性など)」(24.4%)や「家賃」(53.7%)、「築年数」(29.3%)も女性同士カップルの方のほうが気にする傾向があるようです。
一方、男性同士カップルが女性同士カップルより気にする項目は「初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)」(32.1%)で、12.6ポイント差をつけました。「LGBTフレンドリーな物件である」(13.2%)も、8.3ポイント高い結果に。男性2名だと関係性や同居の理由などの説明を求められることも多いようで、LGBTフレンドリーな物件から部屋探しをできることは、説明のハードルが下がるメリットがあります。続いて「通勤・通学時間」(39.6%)も女性同士のカップルより7.9ポイント高い結果となりました。
「カミングアウトする必要がなかったのでしなかった」は、女性同士カップルは52.0%、男性同士カップルは41.7%
家探しや賃貸、購入、ローン契約などにあたり、自身のセクシュアリティやパートナーとの関係性を不動産会社などにカミングアウトしたかについては、「カミングアウトする必要がなかったのでしなかった」(45.9%)がトップでしたが、「自分から積極的にカミングアウトした」という方が25.4%という結果でした。
セクシュアリティ別に見ると、「カミングアウトする必要がなかったのでしなかった」は、女性同士カップルのほうが10.3ポイント高い結果に。
理由としては、女性は「女性2人でのシェアハウスですがいいですかと聞いたらOKだったので、特に話す必要がなかった(44歳・女性・バイセクシュアル)」といった声が多く見られました。一方、男性は「同性パートナーだというと物件を探してもらえなくなると思った(53歳・ゲイ)「カミングアウトすることが怖かった(52歳・ゲイ)」など、カミングアウトしたあとの反応に対してネガティブなイメージを抱いている人が多いように感じました。
「自分から積極的にカミングアウトした」は、男性同士カップルが2.4ポイント上まわりました。
理由としては、「自分から打ち明けることで、その後のやり取りにおいて信頼をもってもらうため(25歳・ゲイ)」「カミングアウトしたほうが、あとから露呈してトラブルになるより得策だと感じた(50歳・男性・バイセクシュアル)」など。
家探しで苦労した人は4割。男性同士カップルのほうが苦労した人が多い
家探しの苦労については、「あまり苦労していない」「まったく苦労していない」を合わせると半数を超えましたが、「やや苦労した」「非常に苦労した」も、全体の4割で、苦労した人も多いことが分かります。
細かくみていくと、男性同士カップルのほうが「非常に苦労した」の比率が14.2ポイント高く、「まったく苦労していない」は女性同士カップルのほうが11.2ポイント高い結果となりました。
それぞれのコメントは以下のとおり。
【やや苦労した】
・「ええっ」って顔をされた(58歳・ゲイ)
・女性同士の入居に不信がられてしまった(33歳・女性・バイセクシュアル)
【非常に苦労した】
・断られた(29歳・ゲイ)
・同性同士の同居に対して、不動産会社の人たちから偏見の目で見られた(53歳・ゲイ)
「あまり苦労していない」
・友達同士のふりをした。お互いに同居したほうが安くすむからと言った(38歳・女性・バイセクシュアル)
・LGBTへの配慮がある行政区に相談し、 円滑に住居を見つけられた(36歳・ゲイ)
「まったく苦労していない」
・購入なので身元調査はされなかった(52歳・ゲイ)
・パートナーとは歳が離れていたので、見た目で何とでもごまかせた。聞かれたときは親戚や姪などと答えていた(35歳・レズビアン)
今回は、同居を初める際の部屋探しについて紹介しました。賃貸物件への入居の際、事前に大家さんや管理会社の審査がありますが、貸す側としては同性同士での入居の場合には、その理由や関係性を把握しておきたいと思うのは当然です。しかし、男性同士カップル・女性同士カップルにとっては、それを伝えることは自分のセクシュアリティをカミングアウトするということ。大家さんや管理会社、仲介会社の担当者に理解があるかどうか不安に思うことでしょう。
LGBTフレンドリーであることを表明している人を「LGBTアライ」と呼ぶそうですが、大家さんや不動産会社さんから、LGBTアライであることを表明してみると、そんな”すれ違い”も徐々に解消できるかもしれませんね。
・[同性カップル調査]より
・調査期間:2018年3月26日~30日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:LGBTに該当し、かつ同性のパートナーがいたことがある18歳~59歳の全国の男女
・有効回答数:364名(うち、男性カップル227名・女性カップル137名)
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