賃貸のほうが持ち家より住宅への不満率が高い!持ち家志向や新築志向は?

賃貸のほうが持ち家より住宅への不満率が高い!持ち家志向や新築志向は?

(画像提供/PIXTA)

国土交通省では、5年ごとに大規模な「住生活総合調査」を実施している。このたび、2018年(平成30年)の詳細な結果(確報)が公表された。そこで今回は、この中から注目したいポイントをいくつか紹介しよう。

住宅への不満は減りつつあるものの、賃貸では持ち家より不満率が高い

持ち家、賃貸のそれぞれに住宅に対する評価(満足か不満か)を聞いたところ、いずれも経年(5年)ごとに住宅の満足度が上がっている。しかし、現在の居住形態が賃貸と持ち家の人で違いが見られた。「多少不満」と「非常に不満」を合わせた『不満率』を見ると、持ち家は18.8%であるのに対して、賃貸は33.1%となり、賃貸に居住している人のほうが不満率が高く、その差は意外に大きいことが分かる。

その理由は調査結果では分からないが、一般的に持ち家と賃貸の住宅の性能には差があると言われている。それは、長く住む前提で売買される分譲住宅などでは、住宅の性能を法規制よりも引き上げて販売し、住宅への投資を賃料で回収したうえで収益を上げる賃貸住宅では、性能を法規制通りのレベルにすることが多いからだろう。こうした性能の違いが、不満率などの結果に表れていると考えてよいだろう。

持ち家・借家別の住宅に対する評価(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

持ち家・借家別の住宅に対する評価(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

では、住宅の評価で『不満率』が高いのは、どういった項目だろう。
不満率の高い上位5項目を見ると、「高齢者への配慮(段差がない等)」が 47.2%と最も高く、「地震時の安全性」(43.6%)、「遮音性」(42.9%)、「台風時の安全性」(38.8%)、「断熱性」(38.6%)の順に続いている。ほとんどの項目で、不満率は経年(5年)ごとにおおむね減少しているが、遮音性などあまり経年変化がない項目もある。

住宅の個別要素に対する不満率(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

住宅の個別要素に対する不満率(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

なにがなんでも「持ち家」「新築」志向は過去のもの?

賃貸のほうが持ち家より不満率は高かったが、今後の住み替え先として「持ち家への住み替え」を志向する人は、経年(5年)で見ると減っている。現在持ち家の世帯では、「こだわらない」が増えているが、現在借家の世帯では、「借家への住み替え」が増えている。

今後の居住形態(持ち家・借家)に関する意向(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

今後の居住形態(持ち家・借家)に関する意向(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

持ち家への住み替え後の住宅について「新築か中古か」を聞くと、比率自体は小さいものの「中古住宅」が経年(5年)ごとに増えている点に注目したい。「こだわらない」も平成25年・30年の調査では3割を超えており、「新築住宅」志向にかげりが見られるようだ。

持ち家への住み替え後の居住形態(新築住宅・中古住宅別)(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

持ち家への住み替え後の居住形態(新築住宅・中古住宅別)(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

親は、親子の住まいの距離感にあまりこだわりはない?

最後に、親世帯が子世帯にどういった住まい方の距離感を望んでいるか、見ていこう。

高齢期になって「子と同居する」ことを希望するのは、経年(5年)ごとに減少傾向にあり、平成30年では11.6%になっている。「子と同じ敷地内の別の住宅に住む、または同じ住棟内の別の住戸に住む」(7.0%)と「徒歩5分程度の場所に住む」(6.6%)の、子世帯のすぐ近くに住むことを希望するのは合わせて13.6%。最も多いのは「特にこだわりはない」の33.5%だった。

高齢期における子との住まい方(距離)の希望(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

高齢期における子との住まい方(距離)の希望(出典:国土交通省「平成30年住生活総合調査の調査結果」(確報))

互いに行き来しやすい距離感を望むものの、それぞれのライフスタイルがあるので、親子間の距離感にこだわりはないという人が増えていると見ていいだろう。

さて、「住生活総合調査」は5年ごとに調査を実施しているので、次の実施は2023年(令和5年)になる。近年は甚大な災害が増えていたり、コロナ禍という事態も起きたりしているので、住宅に望むことや親子間の距離についても考え方が変わっていくだろう。次の調査ではどういった結果になるのか、予測するのが難しい社会になっている。

引用元: suumo.jp/journal