【東急・京急・小田急】少子高齢化で変わる私鉄沿線住民の暮らし。3社が挑む…

少子高齢化や生活様式の多様化への対応が急務! 東急・京急・小田急が目指す沿線の未来

(画像/PIXTA)

少子高齢化による人口減少やコロナ禍による生活様式の多様化で、私鉄各社の事業環境は大きく変化した。それに伴い、東京都・神奈川県に路線を有する大手私鉄では、それぞれ関係人口や移住を増やすまちづくりに着手している。東急株式会社(以下、東急)・京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)・小田急電鉄株式会社(以下、小田急)3社の最新事情を取材した。

東急、京急、小田急、首都圏の大手鉄道会社3社3様のまちづくり。沿線の課題をどう解決するか

大手私鉄は、鉄道事業を中核として、都市開発を行い、住宅を供給し、百貨店やスーパーマーケットを経営するなど沿線住民の生活の基盤をつくってきた。しかし、近年、大都市郊外部でも少子高齢化による人口減少が加速。コロナ禍を経て住まい方、働き方も多様化した。各社は、同じ課題感をもつ沿線の自治体とまちづくり協定を締結し、住民満足度アップや、子育て支援を行っている。

2015年の国勢調査に基づき試算された2050年までの将来人口(2018年国政局推計)。赤色が人口増加、緑が50%以上減少するエリア(画像/国土交通省)

2015年の国勢調査に基づき試算された2050年までの将来人口(2018年国政局推計)。赤色が人口増加、緑が50%以上減少するエリア(画像/国土交通省)

東京圏等の就業者における期間別のテレワーク実施率。東京圏では、全国に緊急事態宣言が発出された2020年4~5月は、3月と比較して、テレワーク実施率が2倍以上となった(画像/国土交通省)

東京圏等の就業者における期間別のテレワーク実施率。東京圏では、全国に緊急事態宣言が発出された2020年4~5月は、3月と比較して、テレワーク実施率が2倍以上となった(画像/国土交通省)

東急では、多摩田園都市エリアの駅遠で高齢者増・人口減が進む

東横線、田園都市線など鉄軌道8路線を運行する東急電鉄。東横線沿線は、中目黒、武蔵小杉、自由が丘を、田園都市線沿線は二子玉川を有し、「住みたい沿線ランキング2023 首都圏版」(リクル―ト)では東横線が2位、田園都市線が6位にランクインしている。しかし、国勢調査(2000~2020年)によると、東急線沿線17市区の人口動態(総人口)は、2035年をピークに減少することが予測されている。中でも多摩田園都市エリアの横浜市青葉区、川崎市宮前区周辺の駅遠地域は、高齢者増・人口減が先行して進んでいる。この人口動態の変化に合わせ、東急では、郊外の沿線づくりの基盤となる「nexus(ネクサス)構想」を策定し、第一弾として、コミュニティ農園や焚火スペースを設け、地産地消マルシェを開催するなど住民・企業・行政とのコラボを行うnexusチャレンジパーク早野を開業した。移動の目的地となる拠点を開設し、将来的には自動運転やデマンドバスなどの移動手段を組み合わせることでWalkable Neighborhood(歩きたくなる街)の実現を目指し、人の総活動量を活性化させ、経済を回す狙いがある。

nexusチャレンジパーク早野(画像提供/東急)

nexusチャレンジパーク早野(画像提供/東急)

京急電鉄では、横浜以南のエリアで利用者が減少傾向

京急電鉄は、都心から、羽田空港・横浜・三浦半島をつなぐ鉄道を運行する。創業期より沿線開発を進め、ニュータウンや分譲一戸建て住宅などを供給してきた。京急電鉄が開発してきたエリアで、横浜駅以南の地域は、高齢化率の上昇が著しく、利用者が減少傾向にある。例えば、1990年度に7万9000人だった横須賀中央駅の一日平均乗降人員数は、2019年度には6万8000人に減少している。横浜市と協定を結び、横浜市金沢区の富岡エリアで乗合型移送サービスの実証実験を実施するほか、沿線全域で、地域の事業者や自治体と協業して課題解決を目指す「COCOON Project」を推進中だ。

京急電鉄、横浜国立大学、横浜市が共同開発している乗合型移送サービス「とみおかーと」の実証実験(画像提供/京急電鉄)

京急電鉄、横浜国立大学、横浜市が共同開発している乗合型移送サービス「とみおかーと」の実証実験(画像提供/京急電鉄)

小田急は、生活様式の変化を受け輸送人員はコロナ禍前に回復しないと想定

小田急電鉄の一日平均輸送人員数は2019年の約210万人から2021年度は、約159万人だった。新型コロナウイルス感染症が徐々に収束することにより、鉄道事業の売上は回復傾向だが、テレワークをはじめとする生活様式の定着により、2023年度の輸送人員はコロナ前(2018年度)の88%程度と見込んでいる。都市開発では、2022年に全面開業した「下北線路街」が話題を集め、新宿や郊外部の海老名などでもエリア開発が進む。

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小田急の施策の特徴は、鉄道会社ならではのアプローチ。ベビーカーシェアリングサービス、小児IC運賃50円化、ベビーケアルーム設置など子育て世代を支える施策を続々と打ち出している。なかでも、小児IC運賃50円化は、全国初のサービスで大きな話題を呼んだ。これらの施策は、2021年から取り組んでいる「子育て応援ポリシー」の一環で、子育て世代にとって利用しやすい鉄道になることで、鉄道需要の喚起に繋げたいという思いがある。

2021年11月に掲げた「子育て応援ポリシー」のロゴマーク(画像提供/小田急)

2021年11月に掲げた「子育て応援ポリシー」のロゴマーク(画像提供/小田急)

2023年春から完全個室のベビーケアルームを7駅に設置(画像提供/Trim)

2023年春から完全個室のベビーケアルームを7駅に設置(画像提供/Trim)

【東急】沿線のベッドタウンを住・働・遊・学が近接した生活拠点へ

東急は、創業以来、鉄道の建設と都市開発を並行して推進してきた。プロジェクト開発事業部沿線戦略推進Gの清水寛之さんは、「当社が描く次世代に向けた新たな郊外の街づくりのキーワードは、“ウェルビーイング”と“ソーシャルハーモニー”が共存する自律分散型の街づくり」だと話す。

「ウェルビーイングは、一人ひとりの幸せや個性、健康を尊重し、人生100年時代の安心・安全と自分らしい生き方の実現といった個人に寄り添ったテーマであり、ソーシャルハーモニーは、自然や文化を守り、人・自然・社会が調和した“豊かさ”を実感できる街づくりであり、社会課題や環境課題の解決といった大きなテーマのことを指します。個人のことは関心が高くて、自ら考えたり、行動することが多いですが、社会課題や環境課題は危機感を抱きながらもどこか遠くに感じられると思います。郊外の街づくりの基盤となるnexus構想は、個人のウェルビーイングを最大化し、社会・環境問題を自分事化(じぶんごとか)することの両者共存を実現するために、共感・共助を生み出す場となるコモンズを拠点に職・住・遊・学が近接、融合した生活圏をつくる構想です。2022年4月に開業したnexusチャレンジパーク早野は、このコモンズの第一弾であり、やりたいことを実現できて、社会の課題を自分事化(じぶんごとか)できる場所。生活者起点であることを最重要視し、市民や我々がバディと呼ぶさまざまな企業、行政と協業して、自律分散型の街づくりを推進していきます」(清水さん)

東急保有の未利用地を活用してつくられたnexusチャレンジパーク早野(写真撮影/片山貴博)

東急保有の未利用地を活用してつくられたnexusチャレンジパーク早野(写真撮影/片山貴博)

nexusチャレンジパーク早野は、小田急線と東横線の真ん中位の場所で、あざみ野駅からバスで10分強のエリアにつくられた。付近の虹ヶ丘団地(川崎市)やすすき野団地(横浜市)は、築40年以上で住民の約半数は65歳以上だ。人口課題があるものの、横浜市営地下鉄が延伸して、あざみ野から新百合ヶ丘に抜けるルートが開業予定で将来性もあるエリアだ。

敷地内には、多目的スペースの「nexus Lab」、会員制の農園「Niji Farm」、焚き火ができる「Fireplace」、「生き物の森」、子どもたちがのびのび遊べ、イベントスペースにもなる「みんなの広場」がある。住民の生の声を聞くために社員が常駐していると聞き、運営メンバーの中上慎哉さんに現地の様子を伺った。

会員制の農園Niji Farm、焚き火ができるFireplaceでは、随時会員を募集中(画像提供/東急)

会員制の農園Niji Farm、焚き火ができるFireplaceでは、随時会員を募集中(画像提供/東急)

Niji Farmで大根を収穫。農作業を通じて自然な交流が生まれている(画像提供/東急)

Niji Farmで大根を収穫。農作業を通じて自然な交流が生まれている(画像提供/東急)

「Niji Farmは、2022年10月から会員活動をスタートしています。会員は、子育て世代と60歳以上のシニアが半々。皆で野菜を育てて、収穫をしたり、ご飯を食べたり。子ども達の遊び場になっていて、『血が繋がっていないおじいちゃん、おばあちゃんができたみたい』と喜ばれています」(中上さん)

多目的スペースのnexus Labは、トレーラーハウスを中心としたエリアで、地域の人がフリーマーケットに活用したり、企業が新商品や新サービスを生活者起点で試行錯誤したりする場所。nexus構想では、理念に共感し、参画する企業や行政、教育機関を“バディ”と呼ぶ。

「横浜市や川崎市は大きなバディになりますが、例えば虹ヶ丘小学校もバディなんです。子ども達がどうしたら高齢者の人達が外に出てきてくれるだろうと授業で考えてくれて、nexusチャレンジパークであおぞら図書館をやりたいという声をいただきました。お年寄りは図書館にいるから本が好きなんじゃないかと。子ども達が本を集めて、本棚もつくったんです。イベントには、多くの高齢者が来場しました」(中上さん)

高齢者がもっている知識やノウハウを伝えるイベントも多数開催。Fire placeで火つけを教えてくれたことも(画像提供/東急)

高齢者がもっている知識やノウハウを伝えるイベントも多数開催。Fire placeで火つけを教えてくれたことも(画像提供/東急)

敷地内にある竹林から竹を切り出すところから体験する「流しそうめん」や「巨大ブランコ」づくりは地元の建設会社が協力(写真撮影/片山貴博)

敷地内にある竹林から竹を切り出すところから体験する「流しそうめん」や「巨大ブランコ」づくりは地元の建設会社が協力(写真撮影/片山貴博)

定期的に開催されるイベント「Challenge Day」(画像提供/東急)

定期的に開催されるイベント「Challenge Day」(画像提供/東急)

初回のイベント時120人だった来客数は、次第に増え、1日に最大800人が来場したことも。2023年3月に開催した1週間のイベントでは、延べ1600人以上が集まった。意外にもnexusチャレンジパーク早野には、東急の社名はいっさい使われていない。

「nexusチャレンジパークは、東急のものではなくて、地域の住民みなさまのもの。我々はみなさんの自己実現(チャレンジ)や地域のための活動の機会と場を提供して、自分たちの手で住みやすい街をつくっていただく支援をしていきたい。今後、エリア内に連携する拠点を増やして、地域を活性化していきたいと考えています」(清水さん)

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【京急電鉄】協業しながら、沿線のにぎわいづくりや課題解決を目指す

京急電鉄が沿線全域で取り組んでいるのは、2022年8月に策定したエリアマネジメント構想「COCOON Project」だ。推進するために創設された、新しい価値共創室の秋本雅さんに詳しく伺った。

「COCOON(繭)は、沿線各エリアに存在するエリアマネジメント活動、COCOONファミリーは、地域のプレイヤーを指します。もともと過疎化が進む三浦半島ではじまった取り組みです。今までも、各地で、利便性の向上、地域の交流拠点づくり、観光促進を進めてきました。COCOON Projectは、各エリアに点として存在していたマネジメント活動を面で捉えて、地域の事業者や住民と協力しながら、沿線全域に拡大していく取り組みです」(秋本さん)

京急電鉄ではエリアごとに複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行えるMaaSサイトを開設(画像提供/京急電鉄)

京急電鉄ではエリアごとに複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行えるMaaSサイトを開設(画像提供/京急電鉄)

三浦半島で取り組んできたエリアマネジメント「三浦COCOON」の仕組みを沿線全体に拡大し、大田区の「おおたCOCOON」、「横浜COCOON」、「川崎COCOON」「かなざわCOCOON」を展開。大田区エリアでは、地域交流拠点「COCOONひろば平和島」を1年間の期間限定(2022年8月26日~2023年8月末予定)で運営している。

「COCOONひろば平和島」内にあるHEIWAJIMAタイニーハウスをシェアスペース・シェアオフィスとして、1時間単位で利用できる(画像提供/京急電鉄)

「COCOONひろば平和島」内にあるHEIWAJIMAタイニーハウスをシェアスペース・シェアオフィスとして、1時間単位で利用できる(画像提供/京急電鉄)

キッチンカーの出店するフードトラック(左)とイベントスペースのえきまえリビング(右)(画像提供/京急電鉄)

キッチンカーの出店するフードトラック(左)とイベントスペースのえきまえリビング(右)(画像提供/京急電鉄)

交通利便性向上の取り組みの目玉は、京急電鉄、横浜国立大学、横浜市が共同して、富岡エリアで2018年から継続的に実証実験を行っている乗合型移送サービス「とみおかーと」だ。

2021年度の実験ではタブレットにICカード等をかざすデジタル決済も実施(画像提供/京急電鉄)

2021年度の実験ではタブレットにICカード等をかざすデジタル決済も実施(画像提供/京急電鉄)

「電動小型低速車(ゴルフカートタイプ)を活用して実証実験がスタートし、2022年12月からは1年間、乗用車での実証実験を行っています。富岡エリアは、山を切り崩しての開発のため、おのずと住宅地は高台が多くなりました。そのため、坂が多く、駅から遠いのにバスが届かない場所もあります。『とみおかーと』で、公共交通の補完をすることで地域の移動課題に対応できればという思いです」(秋本さん)

そのほか、グループ全体で、少子高齢化に対応するサービスや空き家・空きビルを活用する事業を展開している。

「京急ライフサポート」では、掃除・片付け・通院付き添い等の家事を代行。利用者は90%以上が60歳以上で、「1人で病院に行くのが不安だったからよかった」などの声があるそうだ。平均寿命が延びていることを踏まえ、高齢単身世帯などの需要は拡大すると見込んでいる。

また、物件オーナーから物件を借り上げ、京急電鉄の負担でリノベーションを行い、入居者に貸し出すサブリース事業「カリアゲ」「カリアゲール」を展開。オーナーは、リフォーム費用(初期投資)を抑えられ、将来的な資産価値が上がるメリットがあり、入居者からも「リノベ物件の割には安く借りられる」と好評だ。

2019年には、不動産再生プロジェクト「hagu組む」シリーズをスタートした。企画運営は、京急グループのRバンク。シェアハウス、DIY可能な賃貸等の住宅の企画デザインを手掛けてきた経験を活かし、廃止となった企業の社宅、駅から遠い団地などを一般向け住宅にリニューアルし、有効活用する事業だ。

「hagu組む東戸塚」では、シニアや子育て世代向けの部屋、ペット飼育可能な部屋を用意。洗車場やBBQスペース、菜園を設け、多世代の交流を促す(画像提供/Rバンク)

「hagu組む東戸塚」では、シニアや子育て世代向けの部屋、ペット飼育可能な部屋を用意。洗車場やBBQスペース、菜園を設け、多世代の交流を促す(画像提供/Rバンク)

子育て支援事業としては、横浜市・川崎市内に8園の京急キッズランド保育園を運営(画像提供/京急電鉄)

子育て支援事業としては、横浜市・川崎市内に8園の京急キッズランド保育園を運営(画像提供/京急電鉄)

全体の取り組みを通じ、増加する高齢者の不便や不安に応えるなど地域の課題にしっかり向き合う姿勢を感じた。

「地域の理解を深めるには継続が大事。イベントに子育て世代の参加者が増えるなど変化の兆しを感じています。自治体・企業・地元等を繋げる『コミュニケーションハブ』としての役割を果たしながら、沿線の価値を高めていきたいと考えています」(秋本さん)

また、京急グループは今後、家族での外出促進にもさらに力を入れていく。10月1日の鉄道の運賃改定に合わせて、小児IC運賃の均一化に踏み切った。鉄道が全区間75円均一、バスが全区間100円均一となる。あわせて沿線全域ですでに活動する子育てコミュニティをつなぐ、子育て応援ネットワーク「Weavee」を開設し、取り組みを加速する。

【小田急】沿線小児IC運賃の一律50円化など子育て支援に重点

小田急沿線には、ビジネス・商業地点の新宿、観光地である箱根、江の島、都心アクセス良好な世田谷、多摩がある。コロナ禍で一日乗降客員数は減少したものの回復傾向だ。沿線の不動産業の業績は安定しており、テレワーク浸透などで、郊外エリアの価値が相対的に向上している。

町田や新百合ヶ丘など重要なエリアで、再整備やエリア活性化策を実施するほか、海老名では、郊外における「ゆたかなくらし」を創出する開発プロジェクト「ViNA GARDENS(ビナガーデンズ)」を推進。飲食を中心とした商業施設「TERRACE」に加え、2022年には、フィットネスクラブ、クリニックモール等のサービス施設からなる「PERCH」が開業し、あわせて「OFFICE」も完成し、小田急電鉄の本社機能の一部も移転している。近年の開発の効果で海老名では、多様な層によって賑わいをみせている。

「ViNA GARDENS OFFICE」は、2022年完成(画像提供/小田急)

「ViNA GARDENS OFFICE」は、2022年完成(画像提供/小田急)

2021年には、「子育て応援ポリシー」を策定。小田急線新宿駅・新百合ヶ丘駅・海老名駅においてベビーカーシェアリングサービスを導入した。駅改札口付近に「専用ポート」が設置され、ベビーカーを外出先で借りて、そのまま外出先で返すことができる。翌年3月には、「小児IC運賃の全区間一律50円化」や「小田急の子育て応援車」を運用開始した。交通企画部の吉川さんに、実施後の反響を伺った。

「2022年度全体で小児IC利用者数をみると、コロナの感染状況の改善の影響もありますが、対前年で約4割増と大きく伸び、低廉化によって同伴する保護者の利用にも繋がり、お出かけ需要が高まっています。小児IC運賃50円をきっかけに沿線自治体・企業と協力した『お子さま向けイベント』も増えています。今後も、子育て応援施策をさらに推進し子育て世代・若年層にも『選ばれる沿線』づくりに取り組んでいきたいと考えています」(吉川さん)

2023年3月から、代々木八幡・下北沢・登戸・相模大野・秦野・大和・鶴間の7駅に完全個室のベビーケアルーム「mamaro(TM)(ママロ)」の展開を開始。「急に泣きだした時も安心」と好評で、利用状況をふまえて常設箇所を検討していく。子育てと仕事を両立したい若年層に響く実用的なサービスが多く、子連れでの観光需要も喚起されそうだ。

mamaro(TM)は1.28平米のベビーケアルームにソファやスツール、コンセントがある完全プライベート空間(画像提供/Trim)

mamaro(TM)は1.28平米のベビーケアルームにソファやスツール、コンセントがある完全プライベート空間(画像提供/Trim)

保護者は男性でも無料で利用でき、人目を気にせず、おむつ替えや授乳などができる(画像提供/Trim)

保護者は男性でも無料で利用でき、人目を気にせず、おむつ替えや授乳などができる(画像提供/Trim)

強みを活かし、独自の視点で沿線の課題に挑む東急・京急電鉄・小田急。東急では、2023年1月、田園都市線たまプラーザ駅近くに、飲食店の営業や菓子製造販売を行うことができるシェアキッチンgrow up commonsをオープン。小田急では、4月から利用者全ての方へ子連れの利用者を見守る呼び掛けを通勤車両の車内に、ポスターを掲出している。京急電鉄では、「COCOONひろば平和島」で、5・6・7月に移動式子ども食堂の実証実験イベントを開催予定だ。各社が見つめる沿線の未来で、どのような暮らしができるか想像してみよう。自分の望む住まい方・働き方がかなう沿線を選びたい。

引用元: suumo.jp/journal